アニマル泉

セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズのアニマル泉のレビュー・感想・評価

5.0
ジョン・ウォーターズの凄まじさ!恐るべし!ウォーターズによるハリウッドなど既成の映像産業への抗議表明であり、真摯な映画愛の告白である。
「テクニックは自信がない奴が使うんだ」
「魂を売り渡すな」ウォーターズだから無茶苦茶だ。ボルテージは止まるところを知らず、一直線にラストまで過激化する。この圧倒的なパワーは感動的である。ウォーターズは唯一無比だ。タランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」が子供に見える。
セシル・B・デミル、ケネス・アンガー、アンディ・ウォホール、サミュエル・フラー、ピエロ・パオロ・パゾリーニ、ジョージ・キューカー、アルフレッド・ヒッチコック。シネアスト達の名前がズラリとあからさまに頻出する。
極彩色、叙情性、全てが過剰、やり過ぎ。
撮影隊はトラックに乗り、テロリストと化し、フラーの有名なテーゼの如く「映画は戦場」となる。撮影は狙撃となり、興奮はエクスタシーになる。それをメタファーではなく愚直に映像化する、その事に恐れないウォーターズの勇気に感服する。
スティーヴン・ドーフはクレーンカメラの宙吊りのカメラ台で暮らしている。メラニー・グリフィスはブルネットからブロンドになる。劇中で表示されるヒッチコックの「めまい」の看板と呼応している。「空手映画」「成人映画」の専門館と並んで「パゾリーニ映画専門館」が描かれる。
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