ユースケ

ヴィレッジのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

ヴィレッジ(2004年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

19世紀のペンシルベニア州、怪物が巣食う禁断の森に囲まれた小さな村を舞台に、村の掟(①その森に入ってはならない。②不吉な赤い色を封印せよ。③警告の鐘に注意せよ。)や怪物の前触れ演出(赤=危険な色、黄=安全な色)を描き、【シックス・センス】の死者のルールや幽霊の前触れ演出を匂わせた予告編で掴みはOK。

親子三代に渡る愛憎劇を描いた世界の三大悲劇のひとつに数えられるエミリー・ブロンテの小説【嵐が丘】をベースにM・ナイト・シャマランが脚本を書き上げ、シガニー・ウィーバー、ジョン・ハート、ホアキン・フェニックス、エイドリアン・ブロディ、ブライス・ダラス・ハワードなどの実力派の俳優陣をキャスティングし、名撮影監督ロジャー・ディーキンスが撮影するという傑作の予感しかしない一本。

しかし、出来上がったものは、高倉健みたいに不器用なホアキン・フェニックスと盲目なのに走り回れる器用なブライス・ダラス・ハワードのカップルに嫉妬した池沼なエイドリアン・ブロディがホアキン・フェニックスをナイフで刺しちゃったので、ブライス・ダラス・ハワードが禁断の森を抜けて街に薬を取りに行ったら、そこは19世紀ではなく現在だった(ここが衝撃の展開)けれど、ブライス・ダラス・ハワードは器用な上に都合のいい盲目なので村の外の出来事は理解できず、村はこれまで通りの暮らしを続けましたという煮え切らない一本。

どうせなら、殺人によって近親者を失ったトラウマを抱え、殺人のない理想郷を作った第一村人たちが、ブライス・ダラス・ハワードの勇気ある行動によってトラウマと向き合う覚悟を決め、村での暮らしにピリオドを打つラストシーンにして欲しかったです。
それを言っちゃあ、おしまいですが、ブライス・ダラス・ハワードは盲目なので、エイドリアン・ブロディは怪物の着ぐるみを着て正体を隠す必要はありません。

とにかく、マーガレット・ピーターソン・ハディックスの小説【ランニング・アウト・ オブ・タイム】のパクリだとか、レイ・ブラッドベリの短編小説【びっくり箱】のパクリだとか、ロジャー・コーマンの【恐怖の獣人】のパクリだとか、パクリパクリ言われている衝撃の展開は確かに薄味でしたが、劇中で断片的に語られていた第一村人たちのトラウマが、現代の要素で肉付けされ、村の真実が明かされる展開は素晴らしかったと思います。

ちなみに、ブレイク前のジェシー・アイゼンバーグとフラン・クランツ(【キャビン】の愚者の人)が出演しているのでお見逃しなく。