プペ

ヴィレッジのプペのレビュー・感想・評価

ヴィレッジ(2004年製作の映画)
2.7
もうこの監督はいかに「観客の期待を裏切るオチを考えだすか」ということに、心血を注いでいるのか。
やはり『シックス・センス』の呪縛が強固なのか。


前半は、″得体の知れないものに対する恐怖″という、およそ日本人好みする類のじわじわとした恐ろしさがある。
劇中の村に施された数々の謎は、鑑賞者の興味を十分に誘い、目を離せない。

しかし残念ながら、その謎は比較的稚拙で恐怖心を煽ったわりにはややパンチ力に欠ける感があった。
そのため謎解きが始まる後半は徐々に失速、興醒めする鑑賞者も少なくないだろう。
後半の急展開も要となる謎が稚拙であったために、それをヒントにすれば容易く予想できうる。
『シックスセンス』や『アンブレイカブル』の時のような巧妙さには遠く及ばない。

ただし、心理学的な視点では、劇中に登場するような村を実際に作る事はあながち不可能でもなく、そういった意味でのリアリティを考えた時に、ぞっとするような恐怖感はある。
つまりは自分自身が今いるこの現実でさえ、あるいは″村″と同じである危険性もあるのだ、と。
シャマラン監督はそこまで意図してこれを撮ろうと思ったのかもしれないが、いかんせんそれは見る者に伝わっていない。
ヒントが少な過ぎるのだ。

役者の演技の面でも若干問題があり、特に主役の娘(ブライス・ダラス・ハワード)は盲目という設定なのだが、それが全く演じきれていない。
彼女が盲目であるという設定は物語の終わり方に関して非常に重要なだけに、その演技ができていないという事はかなりの致命傷のように思える。

映像的には優れているだろう。
中世ヨーロッパの牧歌的美しさというものを良く表現している。
人々の考える理想的な優雅さにとても近しいのではないだろうか。
シナリオの核に関わる事柄だけにしっかりととらえられている。
特にラストで見られる村の″中″と″外″のギャップは何気ないようで衝撃的だ。


全体的にコンパクトにまとまっていて、テンポも良いため見ていて飽きるという事はないだろう。
その分、こじんまりとし過ぎていて、視聴後の感動などは比較的薄い。
『シックスセンス』や『サイン』を見て、シャマラン監督の巧みな伏線や技巧を期待していた人には今一つ物足りない。
前2作に比べると、1ランク下の出来上がりと言える。

決して駄作ではないが、期待し過ぎは禁物。
プペ

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