akira

灰とダイヤモンドのakiraのレビュー・感想・評価

灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)
4.1
主人公のサングラス、ヘラヘラした感じ、ニヒリズム、意地悪。60年代以降のヌーベルヴァーグ、アメリカンニューシネマ、大島渚などの映画ではお馴染みジェームズディーンなキャラクターが、古臭い50年代までの「グランドホテル」的な舞台の上で動き回る様が新鮮。その違和感に強烈な魅惑を覚える。

高畑勲や押井守は、アニメーションの醍醐味として、抽象的な思想を映像化できることを実践し続けてきた。この「灰とダイヤモンド」は、アニメーションのごとく映像に映る全てを作り込み、第二次世界大戦のポーランドにおける国民の、理不尽な世界に閉ざされた様々な立ち位置を抽象化して、それぞれのキャラクターに落とし込んでいる。光と影の演出によって、彼らがどこから来てどこへ行くのかが暗示され、劇中の詩と、ゴミ捨て場の死によって、映画の題名が意味するメッセージを端的に伝える。
こんな映画を50年代に作られたら、そりゃ皆真似するわ、、。かっこいい古典。
akira

akira