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赤線地帯のakiraのネタバレレビュー・内容・結末

赤線地帯(1956年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

すぐにヘンリーミラーの「北回帰線」を連想した
赤線の館「夢の里」で働く女達のそれぞれの視点と、当時の風俗街の時空やリアルを描く傑作

群像劇としての登場人物とカメラの距離感としてこれほど見事な映画は見たことがない

まさに「北回帰線」を適当なところから開いて読むときのあの、うっとりするような体験をそのまま映像化したような作品

社会から除け者にされた者たちがさらにその存在意義を追われ、それでも尚生きる中でうまれるしたたかさや擦れっからし感
一見めちゃくちゃに見える京マチ子演じるミッキーが最もまともな大人であると感じる瞬間、これがこの(赤線ではなく観客が生きる生活世界全てのこと)社会であり世界だと納得できる

1950年代に作られた映画が今もなお圧倒的にリアリティを持ち続ける普遍性
青年の「汚い」のセリフがブーメランとして観客に突き刺さる

「穢れ」として隔離、差別され続けてきた娼婦の存在が刻印されたこの映画に力を貰う
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