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ワイルド・スピードのnetfilmsのレビュー・感想・評価

ワイルド・スピード(2001年製作の映画)
3.4
 昼間のロジャース運送の活気から夜の倉庫街の静けさへ、日本製家電を乗せたトラックは強盗集団に3方向から囲まれる。助手席に釣鐘を差し込んだ後(この襲い方が凄まじい 笑)、猟銃で撃ち落としたフロント・ガラスの穴に男がダイブする。運転手の抵抗も虚しく、輸送品は強盗団の手によって呆気なく奪われる。翌日のトレットの雑貨とカフェ、密かに店員ミア・トレット(ジョーダナ・ブリュースター)に好意を寄せる男ブライアン・オコナー(ポール・ウォーカー)がいつものようにやって来る。ツナマヨ・サンドを頼み、ミミの部分をカットしてくれと伝えた男の姿に、店の奥で聞き耳を立てている男ドミニク・トレット(ヴィン・ディーゼル)がいる。新聞を読みながら昼間から酒をくらい、一瞬だけブライアンの方を振り返る男は威嚇するような視線を浴びせながら、再び店内に背を向けて座る。そこへ常連のヴィンス(マット・シュルツ)、レティ・オルティス(ミシェル・ロドリゲス)、レオン(ジョニー・ストロング)、ジェシー(チャド・リンドバーグ)の4人がいつものようにやって来る。トレットたち一味は部外者を拒絶しながら、ファミリーとしての忠誠を重んじていた。ある日、その環境にブライアンというノイズが現れたことから、緊密に見えた関係には亀裂が生じ、波風が立つ。
 
 無謀な若者と思慮深い悪役とは、車と妹ミアを通して奇妙な友情で結ばれる。パトカーに囲まれ、絶体絶命のドミニクをブライアンが救う。その日から2人の関係は深い友情で結ばれることになるが、それを快く思わない幼馴染で腐れ縁のヴィンスは反発する。やがてブライアンの隠された秘密が明らかにされる時、疑心暗鬼に陥ったトレット軍団の危険な駆け引きが始まる。久しぶりに再見したが、近年の映画のマーケットに反旗を翻すかのようなアジア軽視と日本へのリスペクトはもはや相当に前時代的である。クライスラーやフォードリンカーン、ゼネラルモーターズなどの国産車には目もくれず、今作はトヨタ・スープラ、日産スカイラインGT-R、240SX、マキシマ、ホンダ・インテグラ、S2000、シビッククーペ、マツダRX-7、三菱エクリプスといった20世紀末の国産スポーツ・カーへの憧憬の念を隠そうとしない。オマケに今作の主人公たちの前に立ち塞がるのは、T&Kフードにアジトを構えるジョニー・トラン(リック・ユーン)率いるトラン一味に他ならない。今作は『頭文字D』のようなストリート・レーサーども(走り屋たち)の日常にフォーカスしながら、愛すべき馬鹿者たちのマシン愛を浮き彫りにする。ハーヴァード大学を卒業しながらも、相変わらず馬鹿丸出しでマッチョなロブ・コーエンの演出には苦笑しつつも、力業で押し切ったクライマックスの数kmの暴走がどうしようもなく熱を帯びる記念すべきシリーズ第1作である。
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