[] 60点
2006年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品、パルムドール受賞作。ケン・ローチは八度目の選出で25年来の夢を叶えた形となる。物語は1920年代に起こったアイルランド独立戦争を描いている。中心となるのはオドノヴァン兄弟だが、優秀な医者の弟ダミアンがメインになるので、活動の精神的支柱だった兄テッドの存在は少々記号的に見える。いつものケン・ローチっぽく"純真無垢だが社会の大きな歪に飲み込まれる主人公"なのだが、本作品ではダンというインテリ鉄道員にも背負わせて二人で割っているのが興味深い。演じているのはペーペー時代のリアム・カニンガムで、本作品でも彼の出世作GoTのダヴォス・シーワースと似たような優秀な渋い副官役をやっていて、ちょっと笑ってしまった。最初に殺された少年の家が象徴的に何度も登場するが、この繰り返しはダンの言った通り"表は緑だが中は赤い英国"を象徴している。んだが、兄弟が別々の道を志して対立するのは流石にやりすぎだろ。ケン・ローチはこういうとこが苦手。