明石です

ツリー・オブ・ライフの明石ですのレビュー・感想・評価

ツリー・オブ・ライフ(2011年製作の映画)
4.3
抑圧的な父と従順な母のもとで育った三兄弟の話。子供の頃と大人になって以降が交差して語られ、子供の頃の方がメインという、マリックの映画では珍しい視点。監督は若い頃に音楽修行中の弟を自殺で亡くしていて、そのおそらくは自身の経験から、本人(兄)の姿を主人公ショーン・ペンに、厳格な父と母が、ブラピとジェシカ・チャステインに投影され綴られている。

角刈りでべっこう縁眼鏡、家でも息子に敬語を求め、趣味はブラームスといかにも50年代風の強権パパをブラピが演じ、ヒロインのジェシカ・チャステインは美人だけど色彩を持たない寂れた中年女性を好演。この人、『女神の見えざる手』のようなカッコ良くて凛々しい女性のイメージだったから、息子を亡くしたショックから立ち直れず悲嘆に暮れるそのお姿に驚いた。

画面はマリック映画らしく、一見無関係とも思えるさまざまな映像がコラージュ的に繋がれる超個性的なものなのだけど、画面の切り替わるタイミングや登場人物の仕草が、楽曲の拍や転調とリンクしていて、常人には想像もつかないほどのこだわり。そしてラストは夢まぼろしか、論理を超越した画作りに唸らせられる。
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