スガシュウヘイ

ツリー・オブ・ライフのスガシュウヘイのレビュー・感想・評価

ツリー・オブ・ライフ(2011年製作の映画)
4.0
「これはすごい!」
と思わせる映画に久しぶりに出逢った。


といってもあまり人にはおススメできないのかもしれない。


しかしまぁ、こんなに万人受けを狙わない、自分のエゴ丸出しの映画を作れるなんてファンキーな監督だよなぁ。




― 「私は不誠実でしたか?」―

自分の息子が理由なく死に、神に問いかける母親の言葉。


人生は不合理に満ちている。

それなのに、

不幸があったのは、日頃の行いが悪いのだ、と因果応報説で責められる青年ヨブ。


彼ほど信仰心の篤い男はいないのに。


息子と娘が全員死に、自らも全身皮膚病となったヨブ。

それでもヨブは
神を信じる事ができるのか?


映画の冒頭でヨブ記の引用がありましたので、この映画はヨブ記を元にしているのかもしれない。


「主は与え、主は奪う」

何故罪もない人が不条理な罰を受けるのか。神に正義はあるのか。



「主よ、あなたは今こそ沈黙を破るべきだ・・・もう黙っていてはいけぬ・・・あなたが正であり、善きものであり、愛の存在であることを証明し、あなたが厳としていることを、この地上と人間たちに明示するためにも、何かを言わねばいけない」
(遠藤周作 『沈黙』より)


「無駄なことなど きっと何一つとしてないさ。突然訪れる 鈍い哀しみであっても」
(Mr.Children 『It't a wonderful world』より)



最初に万人受けしない映画と書いたが、2011年のパルム・ドールを受賞しているし、海外レビューサイトRotten Tomatoesでは、現時点(2011年)で85%以上のレビュアーが高評価しているので、一概に万人受けしないとは、言えないのかもしれない。


何より、他の追随を許さない圧倒的な映像美は見逃せない。



無限大の世界から、
無限小の原子まで、
あらゆる映像を美しく魅せる。

その中で感じることは、すべての生命の中に宇宙が存在しているのだな、ということ。
『ミクロの決死圏』みたいな。



この映画を見る時は、

①たっぷりと時間のある時に、
②ゆったりとした気持ちで
③感受性を全開にして

見るといいかも。

きっといろいろな事が発見できると思う。


「生命の樹、エデンの園」



製作:2011年(米)
監督:テレンス・マリック
出演:ブラッド・ピット、ハンター・マクラケン、ショーン・ペン