アランスミシー

大誘拐 RAINBOW KIDSのアランスミシーのレビュー・感想・評価

大誘拐 RAINBOW KIDS(1991年製作の映画)
5.0
サマーウォーズへの影響

『太陽を盗んだ男』とテーマどころかモチーフまでも軌を一にする岡本喜八による同調ムービー(関西編)
こんな隠れた傑作(しかもスター勢揃い)が話題に上がらないのは陰謀論否定派の自分でさえ陰謀じみた何かを感じてしまう。

『復讐するは我にあり』や『セックスチェック』の印象が強い緒方拳が真逆の立場である役柄を演じていてこの後にワンピース白髭の死に方でお馴染みのGONIN2のあのキャラに繋がるのは感慨深い。
ウト君お気に入りの本田博太郎も最高だし、
若かりし嶋田久作もたまらない。
岸辺一徳の子慣れた富裕層感も気持ちいし、
樹木希林に関してはハンパなく心強い。
北林谷栄はもう別格で、包容力と厳しさを兼ね備えた仏の化身

物語がどこへ向かうのか全く読めなかった喜劇的ムードから一転、突然全ての伏線が繋がりこれまでの笑いが全て深刻なモノへと変換される。安保闘争以降のこの国で必死に生きながらえて来た、決して"心"を捨てなかった数少ない人間たちに同情して気付けば涙が溢れていた

【以下寓喩解説↓↓】
日本の自然遺産の大部分を司る財産であるはずの山(水源、果樹、山菜、生態系etc)を開発のために迷いなく乱雑に切り崩す資本主義的政策から保護するべく立ち上がる一大勢力。
それは自分可愛さから来る金儲けの為に中国や欧米各国に"重要な資源の宿る日本特有の土地"を乱雑に売り捌く現在の岸田政権下ニッポンとも通ずる。

祠を開けたイガリ県警本部長の罰当たり感。政府の散財から国民の血税を守るべく祠の入り口に立ちはだかる神仏様の目

・1機50億円にも相当するF16機
・米国海軍によるベッティングシーン
税金を主人である米国の軍事品購入に使い、国内の本当に助けを求めてる弱者(児童養護施設、片親世帯)の為に使わない米国傀儡国家ニッポン。
今こそ右派左派両者が手を取り合うべき時。


①70%という現代から見ると極端な所得税(贈与税)をかけておきながらそれを福祉に使うわけでもない政府に違和感を覚える柳川家
=上流階級かつ日本保守の象徴である皇室的存在(由緒ある良家)

②政府の非社会福祉政策による被害者である
軽犯罪前科者3人組レインボーキッズ
=政府に反旗を翻す社会主義者の象徴的存在
(レインボーは多様性のシンボルカラー)

③米国傀儡国家である日本政府に言われるがまま三権分立の権力を全く行使せず、むしろ政府の犬と成り果ててしまった警察権力
=安保体制日本国政府の犬

この3者が2対1(①③対②)の構図を作るかと思いきや、1者がある意外な計画に躍り出る。