いののん

ゴッドファーザーPART IIのいののんのレビュー・感想・評価

ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)
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「パパの息子でいるのも大変だ」


偉大なる父を持つのは大変なことだ。2代目の苦難。2代目の苦悩。第1部の終わりには、これで完璧な2代目の誕生かと思ったのに。哀しみがどんどん深くなっていって、出口が見えない2代目の第2部。


Part1と同じような盛大なパーティで幕を開ける。両作共に盛大な祝宴なのに、なにかが違う。前作でのそれは、上り調子を感じさせるものだったのに対し、今作では、同じように豪華でありながら、凋落の気配を感じさせる。


過去に勝てるわけがねえ。
どうやったって過去には勝てねえ。
あの頃は良かったって、みんな思ってるよ。


映画は、2つの時代を行き来する。
初代がドンになっていくまでと、
後を継いだ2代目の話。


ロバート・デ・ニーロ演じる若き日のヴィトー・コルレオーネは、どのようにしてドンになっていったのか。力をつけていく様子に、ものすごい説得力がある。ヴィトー・コルレオーネの、人間としての魅力。黎明期の活気のようなものが、生き生きと描かれる。しかもノスタルジックに。郷愁を帯びて。あの頃は良かったなあ、古き良き時代だったなあと、きっと誰もが、しみじみと懐古したくなるようなマジック。


2代目は、全面を敵で囲まれているような思いで毎日を過ごしている。敵は、よそ様のファミリーだけじゃない。身内への猜疑心も強まるいっぽうだ。でもきっと、アル・パチーノ演じる2代目のマイケル・コルレオーネにとって、最大の敵は、過去なんだろうと思う。どうやったって、過去には勝てない。古き良き時代に勝てない。想い出にも勝てん。偉大なる父は、絶えず記憶のなかで君臨する。これはもう敗北に向かうしかないさ。先代には沢山のおつきの者がいたのに、2代目についているお付きの者の少なさ。ブレーンもあまりにも少ない。マイケルがどんどんと淋しくて疑い深くて、しかもそれをはっきりと表してしまう男になっていってしまうのが、なんとも哀しい。そうなればなるほど、人は離れていくのに。


オレンジは象徴する。
若き日のヴィトー・コルレオーネは、街の果物屋さんから感謝のあかしとしてオレンジを受け取ったり、家族のために自ら買ったり。そのオレンジは、生き生きとしていて、新鮮だ。でも、2代目のマイケル・コルレオーネがオレンジを囓っていると、そのオレンジは、熟したあとの朽ちていきつつあるオレンジのような気がしてしまう。そして、第2部を観ている私は、オレンジを観たら、第1部のあの場面を思い出さずにはいられない。



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ハリー・ディーン・スタントンが出演していた。しかもFBIのうちのひとりとして!


第1部のレビューで、お料理が上手ななんとかさん、などと書いてしまったが、わかりました!フランク・ペンタンジェリさんでした。このフランク・ペンタンジェリ(役名)や、ジョン・カザール演じるフレド・コルレオーネなども、とても良かった。でも第1部に比べたら、魅力的な登場人物の人数自体も減ってしまって、それも悩める第2部という感じだった。


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〈追記、再鑑賞〉2024年1月中旬

やっぱり凄いな。ドン勢ぞろいの会議で、ⅠとⅡは同じ構図&同じカメラワークだったことに気づいた。テーブル(横長)に沿ってカメラは右から左へ、反対の面に回ってカメラは同じく右から左へ。ⅠとⅡで差異があるのかは次回みるときの宿題ということで。ハリー・ディーン・スタントンが出ていたところで初鑑賞のときと同じくビックリして心拍数が上がってしまった笑
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