櫻イミト

招かれざる客の櫻イミトのレビュー・感想・評価

招かれざる客(1967年製作の映画)
4.0
当時はマイナーだった異人種間結婚を取り上げた名作。監督は「手錠のまゝの脱獄」(1958)「ニュールンベルグ裁判」(1961)のスタンリー・クレイマー。事実上の夫妻だったスペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘプバーンの最後の共演作(トレイシーの遺作)。

1967年当時、まだ違法としている州もあった異人種間結婚。リベラリストの新聞社社長の元に、突然娘から結婚したいとの連絡が入る。「自由主義者が自分の主義に泣く」。黒人青年と白人女性の結婚を巡る双方の家族の葛藤を描く。。。

もっと悲惨な話だと勝手に想像していたが、善人の善意を試す物語だった。差別撤廃の主義主張が実生活でも貫けるかのテスト。

言行一致を自分自身のこととしてテストするなら・・・自分は戦争反対だが、来月あたりにロシアが日本に侵攻してくることになっても戦争反対を貫き、「ミッション」(1986)のガブリエル神父のようにふるまえるか?正直言うと自信がない。そんなことを考えながら観た。

「野のユリ」(1963)で黒人として初めてアカデミー主演男優賞を受賞したシドニー・ポワチエ。本作は「夜の大捜査線」(1967)と同年の出演で、引き続き“できる男”の役柄。ポワチエの活躍を経て、70年代に入ると「スウィート・スウィートバック」(1971)を皮切りにブラックスプロイテーション旋風が巻き起こることになる。
櫻イミト

櫻イミト