シネラー

007/慰めの報酬のシネラーのレビュー・感想・評価

007/慰めの報酬(2008年製作の映画)
2.5
クレイグ版ボンドの第2作であり、
シリーズとしても初の前作から
地続きとなる本作を初鑑賞。
全体的に前作からの後日談という印象が強く、
本作自体の面白味が薄くて残念だった。

物語としては、
前作でヴェスパーを裏で操っていた
組織を探る、ジェームズ・ボンド
の追走劇が描かれている。
目覚ましい程の激しいアクションが
冒頭から終盤まで描かれていくが、
それが本作の長所であり短所でもある
と感じられた。
どの場面のアクションも格好良い上に
派手である為、
その点は大いに見応えがあって良い部分
だと思う。
しかし、その結果として物語の重要
な部分が単純な会話劇のみとなってしまい、
アクションシーンの合間にある
人間ドラマの描写が不足していると
感じられた。

前作直後の時系列なだけに、
本作でのボンドの行動自体にも不満が残る。
"カジノ・ロワイヤル"で007として
見事に一皮剥けて成長したかと思えば、
前作でヴェスパーや上司のMから
咎められた点を再び犯している事で、
前作の成長を感じさせる結末が
台無しにされているように
思えてならなかった。
復讐心を抱いている為と理由はあるが、
映画内で情報を聞く前に何人も
殺めるボンドには、
何とも学習のなさが感じられる上に
エージェントとして問題すぎると思った。

物語として面白くない訳ではないが、
何とも鑑賞後の印象が全体的に薄い
007映画だった。
シリーズとして初の試みや
過去作のオマージュもある作品だが、
革新的というよりも不憫な続編だと思った。
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