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カラーズ 天使の消えた街のblacknessfallのレビュー・感想・評価

カラーズ 天使の消えた街(1988年製作の映画)
3.6
L.Aの黒人カラーギャング、ブラッズとクリップスは常に抗争を繰り広げてる。シマ、ドラッグ、金を巡って、そんな中ブラッズのメンバーが何者かに射殺される。
新米の警官マグガヴァンと定年間近の警官ホッジスが事件を捜査することに。

血気盛んな若者と経験豊富なベテランコンビのオーソドックスな刑事ドラマ、でも、この映画の肝はそこにない。
何と言っても当時のカラーギャング達の姿をリアルに画き、そこから浮かび上がる黒人コミュニティーの荒廃、白人との軋轢、警察の黒人に対する横暴、これらを立体的に映し出してることがこの映画の売りなんだよ。

ヒップホップカルチャーと綿密にリンクしてるカラーギャングとは何なのか?というのが正確に分かる。ギャンスタ・ラップの歌詞はギミックではなく彼らの日常なんだということが示される。
リアルだからこそ黒人コミュニティーを越えて多くの共感と人気、ファンを獲得していった。その背景がこの映画で語られてることなんだと納得する。

チームのイメージカラーのバンダナを巻き、オーバーサイズのチェックのネルシャツにワークパンツ、カラーギャングのファッションのかっこよさもこの映画で堪能できる。
自分はこのカラーギャング・スタイルのファッションはアメリカのハードコア・バンドの一部の人達がしていたのを知ってたから、ルーツはこっちなのだと知って驚いた。
ハードコアもヒップホップもカウンターカルチャーだからかっこよさの美意識が共鳴しやすいのかと思う笑
パンクスである自分もすっかりハマってこれに出てたギャングの一人のコーデを丸パクリした笑
エキストラに現役のカラーギャングが出てるから本物のかっこよさがあるんだよ!

なので自分にとってはこの映画はヒップホップカルチャーのガイドしてくれた映画。
表層的なかっこよさだけじゃなく、何故ギャングにならなければならなかったのか?過剰なまでの金や力への執着はどこからくるのか?負の側面も含めて教えてもらった。

それと、警察官が家宅捜査で全裸で無抵抗な黒人男性(セックス中)を射殺するシーンでハッとなった。
アメリカで警察官が無抵抗な黒人を虐殺する事件が続発し、しかもその警察官が何の罪にも問われないことも続発しBLMムーブメントが起こったけど、これって本当に昨日今日の話じゃないことがよくわかった。
このシーンの射殺した警察官も注意は受けたが罪に問われることはなかった。

だけに今回、ジョージ・フロイドさんを窒息死させた警官が有罪になったのは画期的なことだと思う。
しかし、権威主義な奴隷臣民だらけの我が国には「黒人の犯罪率が高ければこんなことにならない」的なことを言って警察を庇う声が多い。
そんな方々には「犯罪を犯さなければならない状態に意図的に置かれてる差別的な社会構造があることに目を向けろ、現状追認権力盲従しか能がない社会学者気取りのPoserめ!」と言いたい。


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