このレビューはネタバレを含みます
捕まるまで生き延びるために、ただ強盗殺人を繰り返していっただけの男のストーリー。
主人公が何を考えているのか、今ひとつわかりませんでした。
今村昌平監督が得意としている人間の業としての一つの表現なのでしょう。
主役の緒方拳演じる榎津巌が最初から最後まで何も悪びれる素振りがなく、堂々としているところに、私は興味を惹かれました。
『人間なんていつかは死ぬのだ、いつ死ぬか、どうやって死ぬかは、死んだ後にはどうでもいい。それは他人であろうが自分であろうが一緒だ。』という、身勝手な考えからの行動なのでしょうか。
社会への憤りややるせなさ、特に父親との確執もやはり根底にあるのでしょうか。
もうちょっとそのあたりを深掘りしてほしかったです。ただゆきずりに殺しを繰り返しているに過ぎず、何を訴えたいのかピンときませんでした。
父親と妻との関係も中途半端な描き方であまり必要性を感じませんでした。
ただラストの遺骨投げに関しては、死んで清々したということなんでしょう。
作品全般を通して、今の日本からは消えてしまった戦後昭和の風俗、空気や匂いが漂ってきます。そのあたりは懐かしいですね。
この手の映画は理解に苦しむ作品が多く、難しいです。
自分の読解力の甘さを痛感しました。
もう一度観て、復習しないといけませんですね。