SetsukoAzuma

復讐するは我にありのSetsukoAzumaのレビュー・感想・評価

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)
3.8
タイトルの意味がわからなくて最初に調べたら、聖書に出てくる神のセリフらしく、主人公の殺人鬼は、これを誤解して犯罪を繰り返していた、というのが、原作小説では描かれているそうです。

映画にはそのあたりがカットされてるので、主人公が子供の頃にあったキリスト教信者であるがための嫌がらせがトラウマになったせいかな?と思いましたが、実は聖書の解釈ミスがキーになっていたということを知ると、見方が少し変わります。

一見、欲のままに何も考えずに殺人と詐欺を繰り返す主人公、榎津が全く理解不能なのですが、そんな男なのに、どこか魅力があって女にモテる。

ちょっとした優しい態度や親切な言動に騙されたり、振り回される家族もそれぞれが闇を抱えている。

1人のサイコキラーを中心に繰り広げられる人間模様の濃さに2時間20分が長く感じられませんでした。

未だ謎なのは、死刑になるとわかっていながら、何気なく殺しを続けられたこと。
ヤケクソでもなく、ただ徒然なるままに。

理解しようとしても到底無理な主人公に観る側も翻弄されました。

緒形拳の、殺そう、と決めてる時の顔が怖過ぎ(゚o゚;;

緒形拳、倍賞美津子、三國連太郎と演技派揃いの日本アカデミー賞受賞作。