MXS7R

メメントのMXS7Rのレビュー・感想・評価

メメント(2000年製作の映画)
4.5
ある方のレビューに刺激されて10年ぶりに再視聴。改めて唯一無二の傑作だなと再認識させられた。

時系列バラバラ技法は面白くなる反面、わかりにくくなる。「この世界から猫が消えたなら」みたいに意味なくバラバラにされるとストレスしかたまらないし「パルプフィクション」ぐらい抜群に面白くできても、バラバラにする理由がなければ、面白かったけど「パルプ〜」の二番煎じだよね、で終わってしまう。

一方この映画は、主人公の特性上、バラバラに描く必然性がある。見ながら感じるモヤモヤやわかりにくさは主人公への共感そのものだ。しかもその上でミステリーとしての質も秀逸の一言。モヤモヤが徐々に解き明かされていく中で「え、レナードは利用されてるの?」と誘導されてからの「え、え、そういうことなの!?」となったときの清々しいまでの驚きは他の追随を許さない感じ。

込められた意味が深すぎて考察を見ないとわからないっていう作品も微妙だなって思う中で、この作品は1周目で十分、核となる部分においてはすっきりするし、それ以外の部分においても2周目を自分で見れば考察に頼らなくても骨の髄まで楽しめる、という意味でも傑作中の傑作と言いたい。
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