物心ついたころからそばにいた二人。友情、信頼、思いやり、それらの気持ちに名前があることも知らないぐらい当たり前にお互いのことをかけがえなく思っている二人。
レミがレオのことを愛する気持ち。この気持ちにだって名前はなかった。ただただレオのことが愛おしかった。でも、どこかで、この気持ちは汚れた気持ちなんだと耳にした。そんなはずはない。小さい時からそばにいたレオのことを想うこの気持ちが汚れているはずがない。そんなはずはないんだ。でも、それなのに、レオがよそよそしくなっていく。レオが離れていく。なんでなんだ。やっぱりぼくは汚れているのか。
レオもまた、レミのことを大切に思っている。でもそれは女性を愛する気持ちとは違う。ぼくは普通だ。そんなんじゃない。みんなに笑われるのはいやだ。浮いてしまうのはいやだ。
レミを失った後のレオが見てられなかった。ぼくのせいなんです、と贖罪するにはあまりにも幼すぎ、ぼくのせいじゃない、と自分を納得させるにも幼すぎる。恐怖、混乱、自責、喪失感、さまざまな感情が小さい心を支配して、誰よりも悲しいはずなのに、泣くこともできない。
そんなレオが、腕の痛みを借りながら、とうとう涙を流せた時、すぐにそばにかけよって、ぎゅっと抱きしめたくなった。泣いていいんだよ、ってただひたすら抱きしめたくなった。
告白するレオに一時感情を乱されたレミの母が、すぐさまレオを追いかけ、何も言わずに抱きしめるのをみて、涙が止まらなくなった。
映画冒頭の10分が映像的にも内容的にも美しすぎて愛おしすぎて、この先何度も見返すことになりそう。