エンポリオ

メメントのエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

メメント(2000年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

方々から聞いていた通り超難解な構成で組み立てられたサスペンス映画であった。
かなり前のめりの姿勢で挑んだがそれでも理解し切れたとは到底言い難かった。しかしその難度を以てこそこんなにも観る者の心を掴んで離さない魅力を放てているのだろうと感じた。
結末から始まりまでを巻き戻し式に辿る構成や、カラーとモノクロを使い分けた映像表現の手法には舌を巻かれるばかりであった。
結末を冒頭部分で完全に見せられてしまったので、サスペンスならではのドキドキが損なわれてしまうのでは無いかと案じたが不要な心配であった。前向性健忘を患った主人公の症状を再現したかのような構成のために観ている側までも何が正しくて何が誤っているのか正常な判断が出来ないステージに連れて行かれ、その頃には事実自らの目で確かめたはずの結末と断片的に拾い集めていった結末までの情報とが噛み合わなくなっているように感じた。
普段映画を観ていてむず痒く感じるような箇所、観ている側が勝手に疑問を感じてしまったがためにどうにか回収してほしいと願うポイント、が特殊な構成のおかげでこの作品には極めて少ないように思う。疑問に感じたポイントは時間軸が逆行していることによって解決され、次の展開へと心置きなく進んでいくことが出来る。
このように革新的な構成によって様々な体験をすることが出来た作品だったが、一度の鑑賞ではとても処理しきれないという、批評どちらの対象にもなり得そうな後味が私には多少苦く感じられた。
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