ロビン

ミストのロビンのレビュー・感想・評価

ミスト(2007年製作の映画)
4.1
再鑑賞。
スティーブン・キング原作作品。
この作品公開時に劇場で観たけれど、再鑑賞してみて何故か後半ほとんど憶えていなかった。。
ある意味脳が嫌な記憶を消し去ったのかもしれない。。
とにかく憶えていなかった自分に感謝したい!
おかげでめちゃめちゃ楽しめた。
こんなにも後味悪くて、ある意味胸糞な映画なかなか無いけれど、個人的にはたまらなく好き!

この作品を観終わると、登場していたクリーチャー達はあくまで脇役に過ぎなくて、この映画の本質は極限状態での人間模様なのかなと。
スーパーの中で得体の知れないクリーチャーにいつ襲われるか分からない、異常な極限の環境に置かれた人間はどのような選択をし、どのような行動をするのか、そして極限状態に陥った時の人間の本性や本質があぶり出されて、人間の恐ろしさというものをまざまざと見せつけられる。

冒頭から外の霧の中に得体の知れない何かがいる状況で「家に子供が待ってるから、誰か家まで送ってくれ」と言う女性がいる。
誰も送ってくれる人がいないと「地獄へ堕ちろ」という捨てセリフを吐いて外へ出ていく。
こんな状況で誰が家まで送るんだよ!
その店の客の女にまずイライラする。
完全に自己中だろ、誰も送らないから。
お前だけじゃなく皆に子供や家族はいるんだよ!
「お前が地獄に堕ちろ!」と思ってしまう。
それと、黒人の弁護士にも超イライラさせられる。
仲間引き連れて外へ出て行ってくれて清々する。

そして一番の胸糞な奴が宗教狂いのイカれ女。
得体の知れないクリーチャーに怯える人々は、宗教狂いのイカれ女の戯言に段々と聞く耳を持つようになる。
究極の恐怖心で自分の平常心を失った人間は何かにすがりたくなるところが実に恐ろしい。
そしてあのイカれ女に扇動され傾倒していく。
ついに人々は、このイカれ女を崇め始める。
“教祖”が誕生した瞬間を見てしまう。
そしてこのイカれ女は、クリーチャーに神の意志だということで“生贄”を差し出すように言い出し皆それに従う姿は狂気の沙汰である。

それと隣の薬局に薬を取りに行くシーンはかなりハラハラドキドキさせられる。
同時に気持ち悪さとグロさの極致!
しかしながら、ここでお婆さんの手作り火炎放射器が凄すぎてちょっと笑ってしまう。
それと、このお婆さんがあの宗教狂いのイカれ女に放った「お黙りハゲタカ!」のセリフにはかなりスッキリ!

とにかく予想できる最悪の展開を上回って、更に最悪の展開になるのでとにかくやり切れない。。
しかしながら記憶を無くしてもう一度観たい作品。

【ネタバレ】
  ↓



オリーがあの宗教狂いのイカれ女の頭を拳銃で撃ち抜くシーンが、この作品で一番スッキリするシーン!

そして主人公の男性の行動は正しいと思わされるミスリードにやられた。
結果的に主人公の選択が全てを悪い方向へと導いた。
火傷を負った者を助けようと、隣の薬局に行くことを提案したのも間違い。
おとなしくスーパーに居れば被害者は増えなかったし、宗教狂いのイカれ女のアシストをしてしまったようなもの。
それに車に乗って行けるとこまで行く提案も間違いだった。
スーパーに居れば助かったはず。
銃で自死する選択も間違いだった。
もっと言えば車のボンネットから銃を拾わなければ良かった。。
やること全部裏目に出ていたのだ。。

主人公はその後絶えられず自殺するだろう。。。
軍人から銃を奪って、エンドロールの最後が銃声が聴こえて終わるとかだったらこれまた最高だった。。
ロビン

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