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ミストのkenのネタバレレビュー・内容・結末

ミスト(2007年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

色んな人から胸糞注意との前評判を聞いてての鑑賞。確かにそういうシーンはあったけど、見終えての感想は胸糞というよりは虚無感と人間の本性の恐ろしさを覚えた。
印象深いのは軍人がカーモディ信者に殺されるシーンとラストの集団自殺からのデイヴィッド(主人公)だけ生き残るシーンの2つ。

軍人虐待のシーンは久しぶりに映画で戦慄が走った。窮地に追いやられた人間は責任の所在がはっきりした途端、容赦なくその人を殺せてしまう。(あの軍人は作戦に直接関わってはないし、責任があるとはとてもじゃないけど言えないが) 宗教とか生贄とかもそうだけど、何かとこじつけて誰かに責任を負わせ、罰することで事態が少しでも良くなると思い、躊躇わず残虐なことができてしまうという人間の本質的な闇の部分が本当に怖かった。このシーンは確かに胸糞だったな〜

カーモディはただの信心深い浮いた存在だったけど、予言が次々と当たってしまい、次第にカーモディを拠り所に信者が集いマジョリティになっていく様もリアルな怖さがあったな〜。人間は脆いから、あの予言が偶然だってどこかでは思ってるけどそれでもその予言者を信じることで自己を落ち着かせようとする。次第に盲目的になり、善悪の判断ができずに行動をするようになってしまう。最初は主人公の仲間だったけど信者になっていったジムが象徴的だった。

ラストのシーンは本当にもう、、、描けるだけのやるせなさ、無条理があそこにあったと思う。もうあと何分か車で待ってたら、そもそもスーパーに残っていたら、とか今までの判断が全て間違ってたらように思えてしまう。全て最善の判断をしてきたように見えるから本当に皮肉的。最初にスーパーを飛び出した女性が家族で生き残っているところが対照的で残酷な現実だった。多分カーモディ達も生きてるんだろうな。
原作はあのエンディングと違ったらしくて、監督は「諦めなければいつか必ず生きていいことがある」ってメッセージを伝えたかったらしいんだけど、状況が絶望的すぎてそう思える人は少ないんでは、、、

霧が出た理由が亜空間と繋がってしまったんだ!ってとこだけ、なんだそりゃって思ってしまった。まぁでも理由が非現実的な方が良かったかなって今振り返って思う。

有名なミストの批評で結果を見るとカーモディとデイヴィッドのどっちがカルトか分からない、っていうレビューがあって。なるほどなーと感心した。結果的にデイヴィッドの行動によって何人死んだかを考えるとね。デイヴィッドの方が(意図的ではないが)人を殺しているのに、なぜかカーモディがカルト的でヤバい奴に自然と見えてしまっている自分たちに気づくとハッとさせられる。
気になる人はTwitterでググって見るとこの映画の感想が胸糞だけではなくなると思います。

久しぶりに観終わったあと良い意味でモヤモヤと記憶に残る映画でした。怖いのダメでなければ見るのおすすめします。感想長すぎわろた、見てくれた人いたらお疲れ様です。ありがとうございます。
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