dita

ラブ・レターのditaのレビュー・感想・評価

ラブ・レター(1998年製作の映画)
4.0
@ シネ・ヌーヴォ 78

原作が浅田次郎、共同脚本が中島丈博なもんでえらく湿っぽいなと思いながら観てたらマスクがめちゃめちゃ湿った(訳:嗚咽レベルで泣いた)。ちなみにブルーハーツのラブレターは流れなかった。

「カミさんが死んだ」

わたしは(わたしも)最初は元妻のことだと思った。違うとわかった時にどれだけ恥ずかしかったことか。難民問題、不法就労についてどれだけ知識を得てもわたしは異国の地にたったひとりで降り立った彼女に気づけなかった。森崎映画をたくさん観て、誰もひとりにしないことにえらく感動し自分もこうありたいと強く思ったにもかかわらず、いちばんの偽物は自分だった。

矛盾だらけの社会、矛盾だらけのシステムの中で人がひとり死んだだけではない、人がひとり死んだのだ。

長い長いラブレターだけが偽物ではなかった。流した涙にもっと責任を持て。
dita

dita