問題作しか撮ってないラースだけど、久しぶりに観たらほんとにエグい問題作だった。そしてアメリカ三部作の一つ目なのだった。ボウイのヤングアメリカンをバックに延々と映される汚ないアメリカのエンドロール。貧困ゆえの人間の汚穢をここまで執拗に突きつける写真群って見たことない。もう清貧なんて言葉はこの地上にはないのかもとか思わされる。これがつまり福祉大国デンマーク人から見たアメリカなのか?美人ゆえにかくまわれ美人ゆえに虐めぬかれる最美人期のニコール。時々エグさがひっくり返った笑いに襲われたりもする恐ろ面白い映画。面白さの基盤は実験性をハイクオリティで観せる造りとローレン・バコールまでいる超キャスト。ハリウッドキャストなのに撮影ぜんぶスウェーデンでやったとか。お前が行けよと思ったけど確か飛行機恐怖症でカンヌにも陸路でしか行けない哀れなラースだった。不安定な手持ちカメラで不安を煽りまくってからの問題のラスト。けど時代が進むほど共感を呼ぶ問題な気もする気がしないでもない。