トリコ

欲望の翼のトリコのレビュー・感想・評価

欲望の翼(1990年製作の映画)
4.5
届かない思いばかり。
届かないと判っていても、諦めずに思い続けられるのは若さなのか。
惨めで、苦しくて、強い言葉で感情をぶつけあう。
そして縋り続ける。
それは残酷だ。

ヨディがたった一つだけ心から願い続けた思い。
その思いもまた純粋で残酷。

オープニングからクソが付く程の気障な台詞に苦々しく思いながらも、引き込まれていくウォン・カーウァイの世界。
他人を突き放し、残酷で我が儘な様でも、人は皆どこかで優しい。
憎めなくて、愛おしくなる。

亜熱帯の湿度の高い映像、ラテン音楽、60年代の空気、それらが調和した美しさ。

超超余談ですが、若い頃のマギー・チャンが出会った頃の妻にそっくりで。
この映画を観て2年後に妻と出会い、確かに似ているとは思っていたけれど、改めて観てちょっと驚いて。
それで、尚更当時の思いを重ねてしまったという、超超余談です。
トリコ

トリコ