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ALWAYS 三丁目の夕日’64のEyesworthのレビュー・感想・評価

ALWAYS 三丁目の夕日’64(2012年製作の映画)
4.9
【1964東京の空】

〈あらすじ〉
高度成長期まっただ中の昭和39年。東京・夕日町では、小説家の茶川竜之介・ヒロミ夫婦に子供ができ、小さな整備工場だった鈴木オートも順調に事業を拡大。人々は明るい話題で持ち切りだった。そんな中、茶川が連載している雑誌に新人作家が登場。読者の人気を奪われた茶川は、またしてもスランプに陥っていた。そんな最中茶川に実家から電報が届く…。

〈所感〉
こないだ東京オリンピックがあったようだが、私の記憶には全く残らないものだった。あれは盛り上がっていたのだろうか。それに比べて1964年のオリンピックの熱気は凄かったのだろう。オリンピックの顔と顔。相変わらずの茶川家と鈴木オートだが、それぞれ変化があった。六子は恋をし、結婚した。そして淳之介は進路を断ち、文学というイバラの道を進み始める。若い二人の巣立ち。必然的に訪れる日常の歪み。変わりゆく世界で、いつの時代も変わらないもの、それは東京の美しき夕焼けの空だった。場所は変われど眺める空は同じ。これで終わりなのかわからないが、素晴らしい完結編だった。私は結局この映画で何を求めているかというと、かつて日本の風情や人情などのノスタルジーに浸りたいのもそうだが、それ以上にこの映画でしか会えない茶川という存在が大好きなのである。この態とらしい吉岡さんの演技は賛否あるようだが、この小憎らしいチャーミングな文学おじさんの隣にいつまでも寄り添っていたい。
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