ハンスウ

プンサンケ/豊山犬のハンスウのレビュー・感想・評価

プンサンケ/豊山犬(2011年製作の映画)
3.9
ざっと調べるとキム・ギドクが脚本とプロデュースなので名前も実績もあるこの人が主導して作られたんだろうなあということがうかがえます。監督はギドクの助監督を何度かやってた人だそうです。色々騒がれた人でもあったけど今作では後輩のために一肌脱いだんですかね。

作品は南北分断ものです。しかしこれは他の同テーマの作品とはだいぶ毛色の違うものでした。少なくとも私が今まで観てきた南北の話は南北統一の理想的な夢が語られてる韓国映画がほとんどだったんだけど、本作にはそんな夢を語る、思い描くキャラクターが1人も登場しなかったんですよね。これだけでも他のとはぜんぜん違います。作風としてはかろうじてエンタメアクションのタッチを守ってはいるものの、依然として続く南北の関係とは結局はこんな感じですよと、韓国の国情院と北の工作員の滑稽で醜い争いをあからさまに、なおかつデフォルメを効かせて描いたりしていました。そんな厳しい現実を反映させた作りになっていました。

これはたぶんキム・ギドクの一つの南北観じゃないかなあと思います。「レッド・ファミリー」という作品でも脚本だけ書いてるけど、こちらは南北の友情をチラつかせるシーンなどもありました。だから一つだけじゃなく、こういうこともあっていいんじゃないかなあとか、いや、現実はこうだよなあとか、映画における南北というのを一生懸命考えたのかもしれませんねぇ。

でも平均の評価が低いのもうなずけます😅 後半は復讐展開になるんだけどちょっとコントっぽさが見え隠れするんですよ。国情院のメンバーも北工作員の責任者も、なんか、みんな顔がぽっちゃりしたおじさんなんですよね。他の映画だとだいたい精悍な顔つきをしたカッコいいのが登場するけど、そういう人はまったく出てこない。それは、何だろ、やっぱり滑稽さを演出したかったからなのか、ただのミスキャストなのか、そこは最後までずっと悩みながら観てました🤣
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