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ロックンロール・ハイスクールのKKMXのレビュー・感想・評価

3.6
 先週、『親密さ』で完全燃焼して以降、予想通りハマ後遺症で体調不良が続いております。回復にはロックンロール・サイコセラピーが必要との結論に至り、電撃バップの勢いで本作をガバガバヘイと鑑賞しました。
 ん〜、フィル友の柴三毛師匠や5Xさんのレビューを事前に読んでいたので、つまんねぇだろうとは予想していていまして、やはり内容は予想通り。しかし、信仰するラモーンズが登場してヘイホーレッツゴーと福音を唱えればアラ不思議、あっという間にテンションMAXでございますでございます!


 オープニングから、学校の放送室でラモーンズファンの女子が『シーナはパンクロッカー』をブチかまし、全校生徒がロックンロール・ダンス!この時点で完璧ですね。
 そして、ラモーンズナンバーの中では割とヘヴィな『サムシング・トゥ・ドゥ』に乗せてラモーンズ登場!オープンカーに乗って演奏しながらの登場で、マヌケさとカッコ良さが醸し出された、まさにラモーンズを体現したような登場にガン上がり!改めて見ると、ギターのジョニーが情け無用な雰囲気がありカッコいい。実際、ジョニーは鬼軍曹で情け無用なんですけど。

 ラモーンズファンのパンク女子の妄想にもラモーンズ現る。パンクちゃんの部屋で『I Want You Around』を熱演するラモーン兄弟。ジョーイ、ジョニー、マーキーと登場するも肝心のディーディー兄貴が居ない。ん?と思ったらバスルームにて兄貴登場!低く構えたベースと、ヤンチャな佇まいはやっぱり説得力ありますね!どこぞの高角度ベーシストとは大違いですよ!大違い!でも、そんなクソカスベーシストも『ギミ・シェルター』ではナオン物色の余裕がなくディーディーばりに低く構えてましたけど。
 『I Want You Around』はおそらく本作当て書きの曲っぽいです。フルコーラス行きましたが、正直あんま好きじゃないですね。ラモーンズのメロウな曲って、あんまりピンと来ないんですよ。この手の曲だと『アウト・オブ・タイム』のカバーが一番好きですね。
 あと、パンクちゃんの部屋にはホラ吹きディランの『追憶のハイウェイ61』、ストーンズのステッキー、あとフーのアルバムがありました。いい趣味してんじゃないですか〜!個人的にはストゥージーズもブチ込んで欲しかったです。この流れでラモーンズ聴くようになるのって説得力感じますね。3アーティストともかなりパンク色が色濃い。レッド・ツェッペリンからラモーンズの流れだと「何かあったな」とか想像しますが(ギターが難しすぎて、パンクならイケそうと思い転向とか)、ストーンズとかパンクと地続きですから。

 ラモーンズのライブシーン!何と5曲!電撃バップ→ロボトミー→カルフォルニア・サン→ピンヘッド→シーズザワンという流れ。
 ロボトミーは何故か英語字幕だけど歌詞付き。ロボトミーの「ろぼーとーみー!」のところはLOBOTOMYというデカい題字がバーンと映し出され、なんかカッコ良かった!ピンヘッドではガバガバヘイのボードを持ってくるアイツもきっちり登場!なんか豪華だぜ!ピンヘッドってなんでも無い曲だけど、ガバガバヘイ!というコーラスは問答無用で盛り上がる!
 そして、ラモーンズを追っかけてきた女子のために、ここで『She's The One』をキメ曲に持ってきたのはゲキ熱ですね!ゲキ熱!この曲はマニアにも収録されてないので、割と隠れた名曲というポジションかと思いますが、このラブソングをパンクちゃんにプレゼントするのがイカす!モータサイクル飛ばして〜エェ……ア、違う曲だった。とにかく、『You're Gonna Kill That Girl』をキメに持ってこなくて良かった!良かった!
 楽屋でプチコント。何故かジョーイはピザを食べさせてもらえず、スプラウト?みたいなものをマネージャーに食べさせられてました。なんか内輪ネタがありそうですね。

 さて、物語は佳境に入り、ラモーンズは学校に乗り込み、ロックンロール・ハイスクールとドゥ・ユー・ウォナ・ダンスをブチかます!ずっとラモーンズを追っかけたパンクちゃんはここで名誉メンバーとして革ジャンを手渡されます。いいね〜、革ジャン!そして学校大爆破でエンド。何でもかんでも爆発で終わるのは安直だと思いますが、本作の場合正解としか言いようがないです!


 作中のラモーンズはスーパースターっぽい扱いでした。追っかけがいっぱいいて、チケットが取れない。しかし、実際のラモーンズはヒットシングルがなく、商業的にずっと苦戦し続けていました。作中の扱いは、なんかグッと来ちゃいましたね。現実ではロックスターにはなれなかったラモーンズですが、このパラレルワールドでは押しも押されぬロックンロール・キングでした。それだけでも、個人的にはいい映画だったと感じています。
 主人公が女の子2人(パンクちゃんとメガネっ娘)というのも良かった。ラモーンズって、存在そのものがマイノリティの味方みたいな感じがするんですよね。ロックの中でもマイノリティから出発したバンドだからというのもありますが、フロントマンであるジョーイの眼差しが常に優しいからかもしれません。もちろんボブ・マーリーやボス、ストラマー兄貴もマイノリティに寄りそうミュージシャンですが、ラモーンズは存在だけで寄り添える感じがあります。本作を観て、そんな風に思いました。
 あと、メガネっ娘ちゃんがキュートでした。素晴らしいガーエーとは言えませんが、観た甲斐ありました!ロックンロール・サイコセラピーは50%くらいは成功かな?😎


【偉大なるラモーンズ!】

https://youtu.be/g7_Ww_C4rW8
[本編のライブシーン]
単純にカッコいいです!こうして改めて観ると、劇場で観れてよかったと思います。
やはりラストのキメ曲She's The Oneにマジックを感じます!何というか、ジョーイの優しさが伝わるライブですよ。

https://youtu.be/lu_lQpnHDhQ
Do You Wanna Dance ?
こちらも本編のシーン。なんすかねぇ、こういうB級でありながらポップでちょっとあったかい感じがラモーンズに似合うんですよ。
ラモーンズは苦しいバンドライフで明確な成功もできず、不仲に終わった哀しい歴史を持っていて、さらにダークサイドを歌詞にしていたりしますが、みんなで明るく楽しく口ずさめるポップスがラモーンズの神髄なのではないかと思います。

https://youtu.be/RQb2EGakLuU
Do You Remember Rock 'n' Roll Radio?
個人的にラモーンズフェイバリットはこの曲。ダッダッダダダ、ダダダダッダダダというドラムのキメはいつ聴いてもアガりますね!そしてサビのメロディがどこかセンチメンタルなんです。キラキラ輝いていたロックンロールへの憧憬が込められた切なくノスタルジックな歌詞もイカす。
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