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高地戦のmimocyanのレビュー・感想・評価

高地戦(2011年製作の映画)
4.0
戦争映画の価値っていうのは爆薬の量とか、目を背けたくなる惨い映像だけで決まるわけではないんだけど、やっぱり説得力をもった戦闘描写は本能的に戦争の悲惨さを胸にズブズブと突き刺してくる。奪い、奪い返される戦場であるがために生じたあるきっかけで、戦争中でありながら敵味方が間接的に心を通わせながらも、同時に理屈や理由とはかけ離れた状況で行われる殺し合い。同じ民族同士で、同じ戦場で銃弾の雨を掻い潜りながら何度も何度も同じ丘を登る。戦争の無意味さを体現するような戦場。そこには個人の命などなく、劇中で語られるように、人間と戦争そのものとの戦いがあった。「渇き」のアホ夫役とはえらい違いなシン・ハギュン、生き残るためにかつての己を捨てたコ・スの演技が最高。他のキャストも大変素晴らしい。
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