おがさ

桃さんのしあわせのおがさのレビュー・感想・評価

桃さんのしあわせ(2011年製作の映画)
3.5
学生時代に中国に一人旅に行って、そこで現地の友達と一緒に見に行った。
言語は当然現地語(確か広東語音声の北京語字幕)なので、中国語検定三級を持っていただけの私には1割くらいしか理解できなかったけど、思い出深い作品。なんとなく懐かしく思って再度視聴。
具体的に「何がどうしてどうなった!」というのを描くのではなく、家政婦の桃さんが脳卒中で倒れてからの余生を切り取って並べたような作風。食事シーンとか街並みとか香港の生活感が詳細に描かれていて、この生活の中で暮らして〜亡くなった人物の説得力というかリアリティというかを後押ししていた。
中国人(香港人だけど)はどうにも無礼な人種だと思われがちだけど、それは13億人のひしめく”他人たち”に対する話で、自分が”家族”だと認めた人物に対しては他のどの人種よりも情深くなる。本作はそんな情深さをよく表していて、本来他人であるはずの家政婦に、まるで実母のように接する主人公の優しさがほっこりきた。
騒々しい香港のなかにあった、静か〜ないい映画。
おがさ

おがさ