このレビューはネタバレを含みます
性依存、恋愛依存、愛の話。
家族の間に、兄妹の間に何が起こったのかは明確には語られてはいないが何かしらの溝があるのは明確に表現されていた。
主人公は性に依存して、性に翻弄されている。「愛なら、毎晩ティッシュにくるんで捨てている。」素晴らしいキャッチコピー。彼はただの性依存ではなく、愛のない行為に救いを求めていたのではないか。自分に好意を寄せている女性との会話や、行為を上手くできないことにそれが現れている。愛がなければ、男でも黒人でも白人でも相手をする。一種の呪いだ。彼は性に快楽ではなく、罰を受けたがっているのではないか。一番の禁忌を犯さぬように。
妹は典型的なメンヘラなんだけれども(恋愛依存、自傷行為)愛嬌があり、感受性が豊かで美しい体を持っている。兄も妹もお互いがお互いを必要としているのに、うまく共存できない。共依存のまま落ちていくことしかできないのか。
ノーマルではない性行為が穢らわしいのならば不倫はどうだ?離婚はどうだ?そう言われている気がした。
視線の演技が美しい。最後に電車で会った人妻とは、きっとSEXをしないのだろう。しないで欲しい。そういう視線だった。