金曜夜、いつもより早く部屋についた。明日は早起きする用事もない。こんな夜は、真っ向から自分と向き合えるような映画を観ることにした。
性依存症の兄と、恋愛依存症の妹。
なかなか抜けられない暗闇の中で、平穏を手探りで探す様は痛々しく、貪るようにバランスを保とうとする行為に涙が出る。
露わにしたり、隠そうとしたり、泣いたり、叫んだり。ぼんやりと生きているわたしより、よっぽど生きている。すごく複雑で、繊細だ。
3大欲求の1つ、性欲。
自分が生きていることを感じ、人間も動物だということがわかる行為。ズタズタに傷ついた時や、誰かによって救われた時、性はとても身近にあるものだと思う。
直接的な描写はないけれど、近親愛を匂わせるシーンもある。支え合うしかない環境で生きてきたのだろう。そうすることで、ようやく潜り抜けられたことだってあるのだろう。
大切にしたいと願う明るい未来が、指の隙間からこぼれ落ちていく。でもそれを必死で守ろうとする兄と妹。
ぐしゃぐしゃになったシーツの隙間に感じたのは、エロティシズムでも満ち足りた気持ちでもなく、悲しさだった。