Yoshishun

サニー 永遠の仲間たちのYoshishunのレビュー・感想・評価

サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)
4.2
“いつまでも仲間”

食わず嫌いしていた映画が傑作だった件。
カン・ヒョンチョル監督、どこかで観た名前だと思ったら『スウィング・キッズ』の人か。あれも陽気なタップダンス映画の皮を被った残酷な戦争映画だったな。

本作は、かつてサニーという女子高生グループで青春を謳歌していた7人が、余命僅かなメンバーの為に再集結する、というもの。数十年後の月日が経った現代パートと、女子高生時代パートの2つから、サニーを通じての青春と成長を辿っていく。

韓国映画は子役の演技力も凄まじく、サニーを演じた7人は勿論、高校生でシンナー中毒というラリった役どころを演じ切った子も素晴らしい。ダンスバトルでもするかと思えば、そこは女子らしく罵詈雑言飛び交う罵倒合戦に徹するのもらしいっちゃらしい。

すべてが上手く事が運ぶわけでもなく、現実は時に残酷なものである。それは2つの時代のパートで描かれているように、人生は試練の連続であると同時に、一つ一つが確かな思い出。日本の青春映画ではほぼ見ることの出来ない赤裸々で豪快な描写の中にも、青春を全力で謳歌したいと願う彼女たちの姿がある。そして、大人になっても切っても切れぬ絆は残り続けていく。

ラストも変に湿っぽくなりすぎず、失ってしまったあの日、あの瞬間を取り戻す粋な演出で心温まるものとなった。さすがに遺産相続の下りは過剰すぎたり、サイドストーリーも濃厚なためにハ・チュナが余命僅かという設定が後半空気になっていたりもするが、永遠の仲間たちというサブタイ通り、いつまでも仲間と呼べる存在がいるかを再認識させられる傑作青春映画だった。
Yoshishun

Yoshishun