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故郷の一のレビュー・感想・評価

故郷(1972年製作の映画)
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島に暮らすある一家がやむにやまれず転職を決意して島を去るというただそれだけの話で、ある一家が故郷を離れて新しい土地へ向けて日本を縦断をするロードムービーだった『家族』を反転させて大体それと同じようなテーマを同じようなキャストで語っている。終盤で井川比佐志が「なんでワシらは大きなモンには勝てんのかいのう」と目に涙を溜めながら吐露するが、『男はつらいよ』シリーズの合間に『家族』『故郷』を作っているこの時期の山田洋次が映画作家として言いたいことってホントにこれだけなんだと思う。それが不思議と今こうして観ている僕の胸にも迫ってくるし、何なら比佐志と一緒に泣きました。佐藤勝の音楽のせいだろうか。エセ・ノスタルジーを刺激される危険な作品。いや素晴らしいんだけど。
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