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ひかりをあててしぼるのnanaのレビュー・感想・評価

ひかりをあててしぼる(2015年製作の映画)
3.3

きっかけは嘘から

お金持ちだと思った男が貧乏だった
ならばお金を稼ぐように育てればよい


渋谷区で実際にあった妻によるエリート夫殺害事件

妻が夫を殺害し、バラバラにしてスーツケースで遺体を運び新宿などに遺棄した。

徹底した取材を元にこの事件フェチの監督が制作した作品

我儘な女が夫を言いなりに、というイメージとはだいぶ違った


ヒモが逃げ出すまで

ヒモだったくせに妻を殴る
その夫を最後まで手放すまいとする妻。
売春までして夫を支え、立派(社会的)に育てあげる


夫を育てる
 ↓
母親のように勉強をさせ、ご飯を食べさせて働きに行く。
サボらないようにチェックし、おだてながら頑張らせる。

自分に相応しい男に仕上げると言うよりもこの妻は夫を愛しすぎていたのじゃないか?(作品中では)

成功した夫との関係が逆転

殴られて笑う顔に恐怖を覚え、追い詰められていく夫の顔と妻の相反する表情。
精神的には殴られている方が加害者のようであるのがこの作品の特徴

変な夫婦
変になる組み合わせの二人が出会ってしまい、お互いパートナーが違えばこんな事にはならない、元は普通の人達、と言った監督の言葉が理解出来たような気がした。

DV夫に妻がしがみつく
DV夫が妻から逃げようと必死になる
おかしすぎる

リアルな自分の日常では理解出来ない世界だが、この作品の中では不思議と双方と関わった友人の気持ちがわかるように描かれている


変わった作りの部屋のセットだが、実際にはもっと生活感がなく異様な部屋だったそう

絶対に大人2人が住めないような小さな部屋。(実際に入った監督談)
どんなに狭くても都心の一等地の高級マンションに住む虚栄心。
元は妻が1人暮らしをしていた物件で、妻は派遣OLの他に風俗で働きながら家賃を払っていた。


変な二人は家具の配置までが変で、その辺りにも「重要」と「必要」が表れており、その部屋を覗いた監督はゾッとしてこの辺りにフェイクしたセット。


〜事件資料より〜
渋谷区エリートバラバラ殺人事件

2006年新宿区の路上でビニール袋に入った男性の遺体の一部が発見される。
当初暴力団関係者·中国マフィアなどによる犯行を疑われるが、被害者の友人による防犯カメラの映像提供と熱心な警察への捜査要請から事件が発覚。

事件当時夫婦はそれぞれが不倫をしており、実際の裁判にはその二人(不倫相手)が出廷するという異常さ。

妻は夫のDVからシェルターに逃れても自らの意志で自宅に戻り、「強くなる」とボクシングを習っていた。




同作品の舞台では演じる女優さんによって智美が違う人物に見えるそう

舞台を何回かやって、映画を作って。

「監督はなんでこの事件に、こんなに付き合うんですか?」とよく聞かれるそうです。

自分でも、わからないけどこのヒロインに自らの奥さんを感じる、
実際に取材した際に「代々木公園がキラキラして見えた」、と言う安っぽ過ぎる言葉と心ここにあらずの表情が頭から離れなかったと言っていた。


依存
恐ろしい執着



過去作です
舞台挨拶回で鑑賞
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