エクストリームマン

三大怪獣 地球最大の決戦のエクストリームマンのレビュー・感想・評価

三大怪獣 地球最大の決戦(1964年製作の映画)
3.6
「私は金星人です」

爆破された飛行機からただひとり生き延びたセルジナ公国の王女が金星人を名乗りだすくだりは何度観ても衝撃の展開だけど、よく考えたら彼女の言っていた諸々が本当かどうかを確かめる術は存在しないので、最初から最後まで彼女の妄想だった可能性は残る……とはいっても、現に予言されたキングギドラが現れるので、その部分を疑っても仕方ないか。シリーズ次作の『怪獣大戦争』にはモロな人たち(X星人)が画面に登場することを考えると、宇宙人描写は大人しい。王女、もとい金星人がキングギドラの名を口にするのが、上映時間の丁度半分のところで、その辺りもよく計算されているなと。

ついにゴジラが人間の味方になってしまう一方で、キングギドラが初登場する記念すべき一作でもあって、アンビバレントな感情が観る度に喚起される。この時はまだギリギリ、地球は守るけど人間の味方になったわけじゃないって温度感だから、気にしなくていいかもしれないけど。でも、モスラとラドンの“説得”で共闘関係になるのはなぁ。小美人がテレビに出てしまうのも、どうもな。まぁ貞子にしてもジェイソンにしても、具象化された災厄/恐怖/怨念みたいなものは等しくキャラクター化/ポップアイコン化されてしまう運命にあり、ゴジラとてその例外ではなく(寧ろ先鞭をつけた?)、その後の流れは必然的だったのだろう。だからこそ、その反動で再び無慈悲な災厄そのものに戻ったゴジラがそろそろ観られるようになってもいい筈……どうなんだろう、『シン・ゴジラ』。