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緋色の街/スカーレット・ストリートのpikaのレビュー・感想・評価

4.5
これがフィルム・ノワールの真髄か。。やられた。映画にぶん殴られた。見終わって全く整理ができないので2日後にもう一度見てみたんだけど、1回目と同じく脱力して終わっただけだった。
エドワード・G・ロビンソンの演技が至高。ハイビジョン画質だったので表情がくっきりと見れたのもあり、エドワード・G・ロビンソンの細部にまで行き届いた緻密な演技がダイレクトに響いた。切なくなる。うう。
ジョーン・ベネットとダン・デュリエの演技も凄い。ジョーン・ベネットのコロコロと変化する表情や声、挑発的な振る舞いなど男を魅了しながらも利用されてもしまっている悪女を演じきっている。ダン・デュリエの独特な喋り方と手の動きは目に焼き付いて離れない。
起承転結の意味が通常とは逆で、クライマックスで上がって最後にさらに落ちるってところがいい。不幸の形は人それぞれ受け止め方は変わるだろうけど、傍目に見て全く救いがない。
電車で記者の言葉を聞いた後ホテルに戻ってホラーに転調する流れが素晴らしい。「ブルー・ガーディニア」でも印象的だった、夜の室内で映える外からの光の点滅がここでも活きてる。ラスト、しわくちゃになったエドワード・G・ロビンソンが自画像を見つめる表情もガツンとくる。
俯瞰のショットも光の陰影もクローズアップのタイミングも演出意図を意識させず、真っ直ぐに見ているこちらの感情を揺さぶってくる。

「飾窓の女」と主要キャストが同じってところがもう。わざとなのかな。しかも「飾窓の女」が先ってところが完璧過ぎる。
何度も見るのは怖いけど何度も見れちゃう傑作。

2021/11/15【1回目】
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