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スクール・デイズのnetfilmsのレビュー・感想・評価

スクール・デイズ(1988年製作の映画)
3.8
 1883年に設立された由緒正しきアメリカ南部のミッション系大学。入学のシーズンは中庭に集まった黒人たちが言い合いをしている。白人の姿はほとんど見えず、在校生の殆どが黒人のこの学校には、南アフリカのアパルトヘイトに反対し、シュプレヒコールが鳴り響いていた。この運動を組織するのは、ブラック・アイデンティティを説く運動家ダップ(ローレンス・フィッシュバーン)が中心となっている「フェラ・クラブ」だった。そんな彼らを苦々しく思うのは、黒人でありながら白人に憧れ、彼らのように振る舞おうとするフラタニティが中心の「ガンマーズ」という当代きっての2大グループがしのぎを削っていた。そんなある日、ダップの従弟であるハーフが、よりによってガンマーズに入りたいと彼に相談してきた。困り果てた彼は反対したが、彼はダップの言うことを聞かずにガンマーズへの入部を申し出た。

 『ドゥ・ザ・ライト・シング』のプロトタイプとも言える物語は、10代20代の黒人青年たちの青春群像を通して、ブラック・アメリカンの真実に肉薄する。マンデラ〜キング牧師に憧れ、非暴力・非服従を唱えるダップは20代前半にも関わらず、カリスマ性溢れる指導者だが、ハーフが忌み嫌うガンマーズに加入することがどうしても許せない。アフリカのJBと呼ばれたアフロ・ビートの創始者フェラ・クティを想起させるFELAの文字、先祖のアフリカ人を敬い、ルーツを大事にするダップにとっては、進歩的なフラタニティの行動はやけに軟派に映り、信念が感じられない。肌の色が白いか黒いか?2組の相容れない感情は、血のつながった従兄弟が介入したことで自己矛盾を引き起こす。スパイク・リーはその対立が、黒人コミュニティ内で起きたイデオロギーの違いなのだと声高に訴えかける。『グリーンブック』にもあった南部の人種差別問題。白人がほとんど出てこないにも関わらず、虐げられて生きてきた黒人にとっては常に白人社会の影響がちらつく。若き日のフィリス・ハイマン、ブランフォード・マルサリス、サミュエル・L・ジャクソンの熱演ぶり、ミュージカルのように集められた黒人であることの誇りがフィルムの中に充満している。
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