ロックウェルアイズ

アリス・スウィート・アリスのロックウェルアイズのレビュー・感想・評価

4.0
教会で聖餐式が行われている真っ最中、1人の少女が何者かに殺された。
真っ先に疑われたのは、その少女カレンの姉で問題児だったアリス。
アリスは家庭でも暴力的で手がかかるため、どうしても愛されるのはカレンばかり。
アリバイもないアリスが真っ先に疑われる中、アリスの周りで更なる惨劇が起きてしまう。

この時代のスラッシャームービーはやはり無敵。
音楽、映像、演出、ストーリー。
どれを取っても今の時代にはない独特の存在感があって、この世界に2時間浸れるというだけでも楽しい。
今作は宗教×少女×殺人というかなり挑発的な題材。
教会で儀式の最中に少女が殺されるというタブーを堂々と踏みにじっていくセンセーショナルなストーリーは当時相当波紋を呼んだであろう。
教会という神聖な場で起こる人間の汚さを煮詰めたような事件。
殺害方法の残忍性やマスクなど小道具の強烈さが際立っていて、前から観たかった作品ではあったが期待を裏切らないものであった。

ただ、アリスの話なのだからもっとアリスを中心に添えて話を進めて欲しかったというのはある。
怪しすぎるアリスが疑われ、警察や親などの大人が介入してくるのは良かったが、どんどんアリスから軸がブレていくように感じた。
真犯人の話など正直興味ない。
また、洋画あるあるの一つ、登場人物似すぎ問題。
私が西洋人の顔を覚えられないというのもあるが、ちゃんと区別して認識できたのがアリスとカレンとデブと家政婦くらいだった。
そのせいであまりストーリーに気持ちが乗らなかったのかもしれない。

アリスはクソガキだが、冒頭のカレン贔屓には流石に同情する。
その後のお母さんとの親子愛のシーンも冒頭のせいで台無しだったのは勿体ない。
そう考えると終始アリスの心の虚しさ、というか悲壮感が漂う物語であった。
それにしてもブルック・シールズが綺麗すぎる。
あれはあまりにもったいない役柄。
あと、猫ちゃんの扱いは動物愛護団体から怒られそう。
一瞬だが、床の血を舐めてる猫ちゃんのカットが頭から離れない。
ラストカットも強烈。
とにかく細かいところまで凝った上手い映画ではあった。