マーくんパパ

山羊座のもとにのマーくんパパのレビュー・感想・評価

山羊座のもとに(1949年製作の映画)
3.0
イギリス統治下のオーストリアシドニー、提督と共にやって来た又従兄弟のアデアは一稼ぎしようと流刑囚から成り上がった地元実力者フラスキーを紹介されディナーに招かれる。客人たちは何故か皆妻を連れて来ない、フラスキー妻ヘンリエッタとはかつて幼馴染だったアデルはそのアルコール浸りのやつれた姿に驚く。甲斐甲斐しく世話をするかの様な家政婦ミリーが家事全てを取り仕切りヘンリエッタを2階の奥の部屋に押し込める不自然さも異様に映る。この夫婦の過去にどんな経緯があったのか、お得意サスペンスが一気に盛り上がるかと思いきや夫婦の馴れ初めや罪を被って流刑となった経緯が明かされ肩透かし。アデルの支援で心の病から立ち直ろうとするヘンリエッタを邪魔するミリーが『レベッカ』の家政婦みたいでちょっと怖いがピントがフォーカスされていないのでモノ足らず、結局サスペンス期待して観る映画じゃないと終わってから気付く次第。ヒッチコック自らも認める失敗作、主演バーグマンを堪能させれば成功すると錯覚したのが間違いの元とトリュフォーとのインタビューで明かしている。確かに提督宅での舞踏会シーンのバーグマンは美しいけど…。コレでヒッチコック作品は初期の一部を除いて大方カバー出来た満足感に浸る。