このレビューはネタバレを含みます
ヒトラー政権下、激動の時代を生きた2人の少年。世界に隔てられた少年たちの運命が互いに触れ合うその先で———
残酷で凄惨であり悲壮な作品
物語のあらすじは
ヒトラー政権時代、ヒトラー崇拝者であり軍人である父に持つ少年ブルーノと強制収容所に収容されている同じ歳のユダヤ人少年シュムールが交流を深めていく中で悲劇が訪れるというもの。
結論から言うと、救いは此処にあらず。
ブルーノとシュムールはガス室に送られて二度と帰らぬ人になってしまった。
観終わった感想としては
「なんでこんなことになっちゃったのかなあ…」
立場が違う2人の物語、結末はどうなってしまうのだろう、と胸中に靄がかかりながら観ていたけれど、晴れることはなく暗澹に包まれてしまった。
脚本、構成、演技、尺、どれも素晴らしい。
登場人物も少なく初見時の没入感が高い。
時代や思想に対するおぞましさをちゃんと覚えている人がいなかったらもっと視聴脱落者多いんじゃないか、と思うくらい母親が良いアクセントになっていて、反対に、時代や思想に簡単に染まっちゃうお姉ちゃんの存在は恐怖を引き立たせてた。
ブルーノのシュムールを傷つけてしまった嘘への謝罪の気持ちと父親を探して欲しいというシュムールの願いを叶えてあげたいという優しさ
シュムールの許す心と残酷な世界でできた友達という絆
その全てを足蹴りするかのような現実に辟易する。
二度と観たくないけど二度も観るべきだと感じるし、戦争や人種差別が無くならないのが現実だからと理不尽なことに慣れるべきではないし、戒める心をいつまでも持ち続けたいとそんなふうに思わせてくれる作品。