すえ

挑戦のすえのレビュー・感想・評価

挑戦(1969年製作の映画)
4.2
記録

第一話:グラディオ・ゲリン監督
なんかキモい、娘しかまともなやつがおらん。たまに良いショットが出現するものの、全体を通してキモいとしか言えない。スペインにとってのアメリカへのイメージ、暴力と粗野に満ちている。

第二話:ホセ・ルイス・エヘア
一話より面白い、太もも映画、これも最後には暴力が満ちる。一話も二話も同様に、暴力は突発的カタルシスを引き起こさない。スペイン的殺戮方法(?)で幕が閉じる。馬と車、スペインとアメリカ。

第三話:ビクトル・エリセ
マジで格が違う、この中では異質。特にサウンドの使い方が凄い。サウンドがサスペンスの要因となる上、カットの割り方も巧みでそれもサスペンスを引き起こす。撮り方も全然違う、目のクローズアップだけで人物の運動を描いたり、超高速パンで場面展開したりと、観ていて面白い。

内容は、前二話のカウンター的立ち位置で、前提がひっくり返される。つまり、スペイン人がアメリカ人を殺す構図から、アメリカ人がスペイン人を殺す構図へと変容する。

今作のアメリカ人は、暴力と死に支配された家父長的気質を持っている。前二話の殺人とは異なり、より派手に、より不条理さが増している。このことからもベトナム戦争が示唆されているのかなぁと(実際アメリカ人のチャーリーはベトナム戦争での負傷で不能になっている)。

一話と二話を観なくて良いとは言えない、エリセのパートがより面白くなるし、映画全体の主題が掴みやすい。かといってあまり面白くないのが残念。

この映画は1960年代当時における、アメリカとスペインの、暗く不吉な両国の関係が支配している。この時期からスペイン映画界に暴力表現が出現したとされており、よりアメリカの残忍性が可視化したらしい。

2024,48本目 2/24 BluRay
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