キャッチ30

ル・アーヴルの靴みがきのキャッチ30のレビュー・感想・評価

ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)
4.0
元々、港町三部作と名付けられたが、タイムリーな話題であることから難民三部作に変わった。本作はその一本目であり、私にとって初めてのカウリスマキ作品である。

舞台に選ばれたのは、フランスの港町ル・アーヴル。モネが少年時代を過ごした場所でもある。
ここに、靴磨きのマルセルが暮らしている。生活は貧しいが、妻と犬と友人に囲まれて幸せだ。
ある日、妻が入院することになる。同時期に、ガボンから密航してきた少年イドリッサをマルセルは匿うことになる。彼は少年を母親のいるロンドンへ送り届けようとする。行く手には、ル・アーヴル警察のモネ警視が立ちはだかる。

青と緑に彩られた美術や衣装が港町とマッチしているし、市井の人々の描き方も良い。嫌われ者であるモネ警視には黒のスーツを着せている。敵なのか味方なのか分からない。彼の姿は『カサブランカ』のルノー署長を思わせる。

カウリスマキは彼らの物語を暖かい視線で紡ぐ。カンヌの審査員達はこの映画に賞をあげるべきだった。