ビデオを昔買っていたから見てみたけど、思った以上に良くて驚き。
まずは若いロベルト・ベニーニが新鮮って程度の印象だけど、そこから保育園で子供たちと触れ合うセミドキュメンタリーが展開されると、ロベルト・ベニーニの良い意味でピエロ的な振る舞いと子供らの愛らしさにすっかりやられてしまっていた。
撮り方もベニーニらに即興的に演じさせた後で補完する為のクローズアップを別に撮るという手法が採られていたけど、そのリアリズム重視の手法が題材と合致していて秀逸だった。
ベニーニが保育園にロバを連れて来たり謎の巨大ロボットが闊歩したりとマルコ・フェレーリらしい独特なユーモアが発揮されたシーンも多く、特に未亡人らしき女とセックスしようとして子供を誤魔化す為にジャングルの音を鳴らすシーンにはその発想に唸りすらした。(もしかしたらベニーニの発案かもしれないけど、どっちにしろ馬鹿らしくて逆に感心する)
最後に映る夕陽や蛙も希望的意味合いが如実に感じられて実に素晴らしく、この作品でマルコ・フェレーリがベルリン映画祭の銀熊賞を受賞したのも納得する他無く、その確認の為にもビデオを見つけて買った判断は正しかったなと過去の自分を褒めたくなった。
しかしこの隠れた名作が日本だとビデオでしか見られず、海外でも DVDが希少という現状は不遇と言わざるを得ないけど、そもそも最後の晩餐以外のマルコ・フェレーリ作品の扱いがあまりに小さいから、確かに特殊な監督ではあるけど彼はもっと評価されるべきだと強く思う。