安堵霊タラコフスキー

アッカトーネの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

アッカトーネ(1961年製作の映画)
3.5
ネオレアリスモ的趣の感じられるパゾリーニのデビュー作

一日中仕事をせず同じような仲間も駄弁ったり惚れた女とデートしたり、たまに自分が見限られた女房と家族を訪ねたりといったうだつの上がらないクズの話だけど、マジで戦後から60年代にかけてまでこんなニートみたいな男がイタリアに蔓延ってたのならとんでもない状況だ

映画的にはカット割りが多めだったり大根役者が目立っていたのはちょっと気に食わなかったけど、娼婦が客を待つところや子供と会ういくつかの場面等情緒の感じられるシーンが結構あったから嫌いになれない作品だ

しかし昔はアッカトーネ的な輩には軽蔑の念しか感じられなかったのだけど、今では奴ほどではないものの自分も情けない男の一人となったこともあり幾許かの共感も抱いてしまうのが我ながら悲しいが、人の腐敗は余程のことが無い限り回復しないという例として色んな意味で心に焼き付けたい