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23年の沈黙の4423のレビュー・感想・評価

23年の沈黙(2010年製作の映画)
3.5
13歳の少女が失踪し、麦畑で自転車が発見される。その麦畑では23年前の同じ日に11歳の少女ピアが暴行され殺されるという未解決事件が起きていた。これは同一犯による犯行なのか?そしてなぜ23年の沈黙は破られたのか…?

本作は事件そのものの追究よりも、少女失踪事件を起点に様々な立場にある人々の心情に重きを置いた作品である。内容が内容だけに終始息苦しさと居心地の悪さを感じてしまったが、重く絡み合った濃厚な人間ドラマは頭と心に染み付いていくようだ。

ドイツ映画ということで知らない役者さんばかりだったが、それぞれの手堅い演技が光る。中でもダーヴィットとティモ役の俳優さんの演技がこれでもかと言うぐらい際立っていた。

そして合間合間に挟み込まれる俯瞰の映像が素晴らしい。俯瞰というのは普段見えない部分を見ているようで美しくもあるのだが、同時に恐ろしさも持ち合わせていると思う。最後には映像もストーリーもドン底にたどり着く。喪失で始まり、喪失で終わる。この行き場のない思いは何人足りとも拭い去ることは出来ないだろう。永遠に。
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