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仁義の墓場のtwitwilightsのレビュー・感想・評価

仁義の墓場(1975年製作の映画)
4.5
大阪へと追いやられた力夫が、釜ヶ崎(西成区)のドヤでペイ(ヘロイン)に手をつけてしまう。手ほどきの相手は芹明香演じる売春婦。画面はややセピアのモノトーンに変換されている。

「アレよりもナンボかええで」

私やのうて誰がこの役演じるんや、と言わんばかりの堂々たる芹の名演!

ロマンポルノの傑作「㊙色情めす市場」の影響色濃い本作での忘れられないシーンだ(深作が制作スタッフに16回観せたという逸話の真偽は)。

事後の余韻を引きずり、恍惚の表情で壁にもたれる二人。どこか不可思議に”インサート”されたこのショットが実に素晴らしい。映画でしか表現し得ぬ退廃の極地。ジャームッシュ「ミステリー・トレイン」の永瀬正敏と工藤夕貴がもたれ合っているあの有名なシーンを観た際にも、本作オマージュではないのかと疑ったくらいだ。個人的にはこのワンショットのみでマイ・オールタイム・ベストと相成った。

そして見事本作を令和の時代にアダプトしてみせたのが、白石和彌監督“孤狼の血 LEVEL2”である。
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