Punisher田中

イカリエ-XB1のPunisher田中のレビュー・感想・評価

イカリエ-XB1(1963年製作の映画)
3.7
舞台は2163年の宇宙。
宇宙船イカリエ-XB1は生命探査のため、アルファ・ケンタウリ系へと向かっていた。
船員達も長いスリープから目を覚まし、仲間達の声で賑わう船内。今の所は順風満帆で穏やかな旅だったはずが、その道中、朽ちた宇宙船を発見したことで彼らの運命は変わりつつあったのだった...

1963年製のSF作品。
モノクロだからか、不思議とチープさは全く無く、キューブリック監督作の「2001年宇宙の旅」を思わせるようなシンメトリーな廊下のカメラワークや静謐なムードで淡々と進行していく点は最早「2001年宇宙の旅」の原点となっていると言っても過言ではないように感じる。(残念ながら過去にキューブリックが今作のエッセンスを抽出した等の発言は明記されていない為、気になる所)
特に、宇宙の全く未知な部分をポジティブに捉えているのはかなり面白かった。
現代では正に「エイリアン」を始めとした宇宙人によるパニックものが流行り出し、未知の宇宙生命体は攻撃的で恐怖を感じるものといった存在になっているので、今作での宇宙生命体を奇跡や希望、または友好的に捉えている部分は興味深いなと。

時代を感じる特撮シーンや独特な宇宙船・宇宙服のデザインも逆に新鮮だったし、宇宙船での彼らの過ごし方は観ていてとても未来的で良かった。
「2001年 宇宙の旅」でも思ったが、SF作品で描かれる未来(進歩したテクノロジー)の描写ってどれも見ていて楽しい!
それこそ、自然のエネルギーをフルに活用している未来だったり、快適最善な未来だったり、テクノロジーが進化するばかりで街並みは一切変わっていなかったりと、今作もきっと望んだ未来だったりするのかな。
実際、アイディアや発明には限界はないだろうし、ワープや月面開発なんて100年・200年先で現代のSF作品も時が経てば古臭いと思われると思うと本当にSFって深いジャンルだなぁ。
最近はSFをあまり追っていなかったが、今作を機にSF欲がまた湧いてきたかも!
あるかもしれない誰かが創った未来をこの目で見ていきたい。