景

もののけ姫の景のネタバレレビュー・内容・結末

もののけ姫(1997年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

見たことがなかった『もののけ姫』をようやく見た。噂に違わぬ名作でした。重いテーマに対して時間はそこまでの長尺というわけでもなく、話が壮大なだけにちょっと詰め込みすぎている感もなくはないけど、それがすんげえ面白かった。映像と音楽も相変わらず高品質で、アシタカがヤックルに乗って駆けるシーンはどれもいいよね。

話は『ナウシカ』に通じるものがあり、アシタカの立ち位置はナウシカとも言えるし、まるでクシャナを思い出させるエボシというキャラクターも出てくる。そしてこちらでも人間と自然の共存に宮崎監督は答えを出してないけど、それが一番真摯で自然なのかなとも思う。

あと会話から浮かび上がってくる、この世界の勢力図というか政治が面白い。モロ、エボシ、ジコ坊、乙事主などのキャラクターも個性的で飽きない(逆にタイトルになっているサンはちょっと影が薄いような……)。エボシやジコ坊はアシタカやサンの立場からすれば「敵」とも言えるし、むごいこともしているんだけど、どちらも嫌いにはなれなかったし、特にジコ坊の描き方はすんげえいいなと思いました。ままならぬ「個人」と「群体(組織)」の関係描写も印象的で、個と群という形では相容れなくても個と個でなら分かりあえる、という結末も甘いのかもしれないけど私は好き。
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