昨日の千と千尋上映があまりにも良すぎて、連日で観に行ってしまった。本作は今まで観たことがなかったのだが、映画館で初鑑賞できたのはとても幸運だったと思う。
己の信念に従って行動するアシタカと山を壊す人間への報復を誓うサン、そして村の発展のためシシ神の首を狙う烏帽子。どの立場にも正義があり、明確なヒール役が存在しないというのが新鮮に感じた。(強いて言うならジコ坊か?)自然破壊する人間が悪いと貶めるありがちな図式に走っていないのは、人間と自然の共生を考える上で重要な視座となるだろう。
美しく凶暴な自然描写もさることながら、心を惹かれたのは一編の叙事詩を読んでいるかのような台詞回しだった。堅苦しい言葉が多く用いられているにもかかわらず、劇中を流れていく言葉はスッと腹落ちするものばかりで聴き心地が抜群に良い。これは声優陣の素晴らしい演技があってこそのものだ。
サンの凛々しい呼び声が観終わった今も頭に残っている。