大傑作であった。人の営みを群としての人にフォーカスして音楽と身体的な動きで愛しく描き出す。ほとんどセリフはなく、またあっても物語において決して重要でないため、サイレント映画(効果音は必須だけど)のような作品であり、言語の壁を越えてこれこそ世界を股にかけて愛される作品と言える。
チャップリンなんかと同じ気劇作家であり、監督兼主演で登場するジャックタチだが、決して彼は目立たない。控えめで絶対に顔のアップを映さず、集団の狂騒こそが主役とした絵作りしていた。
全編笑えるのだが後半のディナー会場が素晴らしい。まるで楽器が集まるかのように音が増えていき、人の営みによるアンサンブルが始まる。幸福感に包まれ、集団としての人を賛歌するようであった。
見られてることに気づかない人の滑稽さ等も非常に楽しく描かれていて、最高のコメディー映画であった。